貿易展望だよりNO.42 審査体制と見聞きしたこと(2017年1月)
永野靖夫
貿易展望だよりNO.17及びそれに添付の講演要旨にて、国家安全保障会議(NSC)の創設(H26/04M)以降の安全保障貿易管理の大きな節目を申し述べました。法制面からいえば、H26/04Mに輸出注意事項26第12号にて、「防衛装備の海外移転について」が経産省貿易経済協力局から発出され、その中に防衛装備移転三原則及び運用指針が示されています。詳細については、関係法令集(第21版)のP608-P612をご参照願います。
一方、内閣官房、外務省、経済産業省、防衛省より「防衛装備移転三原則について」が公示され、そのP14に後述の「資料:審査体制」が示されています。これが防衛装備品(注)の輸出許可申請後の審査の流れを説明するのに一番適していると考え、今号で取り上げることにしました。
注:技術も当然対象となりますが、話を判り易くするため、以後、貨物を前提に話を進めます。
1.資料:審査体制
経産省に輸出許可を申請した後の流れは「資料:審査体制」のごとくとなり、審査の結果は経産省から通知されます。従いまして、申請者は経産省のみを相手にしていれば良く、この点は従前と変わりませんが、政府内部の手続きの流れが資料のごとくになったということです。なお、申請書類の作成方法については、NO.40で解説しておりますので、ご参照ください。
2.時間が掛る可能性
過去に類型の申請があって、実績がある場合はさほど許認可の結論が出るまでの時間が変るとは思えませんが、新規の案件の場合は、資料に示されている如く、国家安全保障会議幹事会に上程される可能性があります。そうなると、申請書類は霞が関の経済産業省に提出された後、NSC(永田町)及び防衛庁(市谷)に回付された後、霞が関に戻ってくるでしょうから、従前に比べると可なり時間が掛ると推測されます。
3.情報の公開
さて、資料にあるごとく、経済産業省は防衛装備品の海外移転につき、年次報告書を作成しています。「防衛装備の海外移転の許可状況に関する年次報告書」にて、GOOGLEで検索しますと、これにヒットしますので、ご参照ください。これにて、政府が管轄する防衛装備品の動向(主に、案件毎の件数)が判るでしょう。今まで、例外化規定という形で処理されてきましたが、平成27年度より、このような年次報告書の形を取るようになりました。
4.見聞きしたこと
私はできるだけ防衛省関連の講演会等に出席するようにしています。そこで、見聞きしたことを申し述べてみましょう。
1)従前、防衛装備品の顧客は防衛省のみでした。武器輸出禁止三原則の下では当然こうなりますが、今回の新三原則の導入により、この点が大きく変りました。即ち、原則禁止とされてきた防衛装備品の輸出は厳しい条件が付与されてはいるものの、原則解禁になりました。こうしないと、防衛装備品のコストが高くなってしまうでしょうし、海外の防衛装備品の動向も掴めなくなります。防衛装備品といえども、世界の趨勢から孤立したのでは存在しえないということです。
2)講演会等で講師の先生方は、お役所も海外から買う可能性があるので、防衛村の企業も輸出等で儲け、体力を付けてほしいとよくおっしゃいます。上記の年次報告書にあるごとく、国際共同開発・生産等が既に動き出していますので、この傾向は強まることはあっても、弱まることはないと考えます。
そうはいっても、今まで国内商売に専念してきた企業殿がおいそれと輸出等に参入できるものではありません。どうしたら良いかですが、私の著書を読まれるか、ホームページにアクセスされるか、又は、私に連絡して戴ければ、できる範囲でアドバイスさせて戴きます。最後は宣伝になってしまいましたが、ご容赦ください。
以上
資料:審査体制
永野靖夫
貿易展望だよりNO.17及びそれに添付の講演要旨にて、国家安全保障会議(NSC)の創設(H26/04M)以降の安全保障貿易管理の大きな節目を申し述べました。法制面からいえば、H26/04Mに輸出注意事項26第12号にて、「防衛装備の海外移転について」が経産省貿易経済協力局から発出され、その中に防衛装備移転三原則及び運用指針が示されています。詳細については、関係法令集(第21版)のP608-P612をご参照願います。
一方、内閣官房、外務省、経済産業省、防衛省より「防衛装備移転三原則について」が公示され、そのP14に後述の「資料:審査体制」が示されています。これが防衛装備品(注)の輸出許可申請後の審査の流れを説明するのに一番適していると考え、今号で取り上げることにしました。
注:技術も当然対象となりますが、話を判り易くするため、以後、貨物を前提に話を進めます。
1.資料:審査体制
経産省に輸出許可を申請した後の流れは「資料:審査体制」のごとくとなり、審査の結果は経産省から通知されます。従いまして、申請者は経産省のみを相手にしていれば良く、この点は従前と変わりませんが、政府内部の手続きの流れが資料のごとくになったということです。なお、申請書類の作成方法については、NO.40で解説しておりますので、ご参照ください。
2.時間が掛る可能性
過去に類型の申請があって、実績がある場合はさほど許認可の結論が出るまでの時間が変るとは思えませんが、新規の案件の場合は、資料に示されている如く、国家安全保障会議幹事会に上程される可能性があります。そうなると、申請書類は霞が関の経済産業省に提出された後、NSC(永田町)及び防衛庁(市谷)に回付された後、霞が関に戻ってくるでしょうから、従前に比べると可なり時間が掛ると推測されます。
3.情報の公開
さて、資料にあるごとく、経済産業省は防衛装備品の海外移転につき、年次報告書を作成しています。「防衛装備の海外移転の許可状況に関する年次報告書」にて、GOOGLEで検索しますと、これにヒットしますので、ご参照ください。これにて、政府が管轄する防衛装備品の動向(主に、案件毎の件数)が判るでしょう。今まで、例外化規定という形で処理されてきましたが、平成27年度より、このような年次報告書の形を取るようになりました。
4.見聞きしたこと
私はできるだけ防衛省関連の講演会等に出席するようにしています。そこで、見聞きしたことを申し述べてみましょう。
1)従前、防衛装備品の顧客は防衛省のみでした。武器輸出禁止三原則の下では当然こうなりますが、今回の新三原則の導入により、この点が大きく変りました。即ち、原則禁止とされてきた防衛装備品の輸出は厳しい条件が付与されてはいるものの、原則解禁になりました。こうしないと、防衛装備品のコストが高くなってしまうでしょうし、海外の防衛装備品の動向も掴めなくなります。防衛装備品といえども、世界の趨勢から孤立したのでは存在しえないということです。
2)講演会等で講師の先生方は、お役所も海外から買う可能性があるので、防衛村の企業も輸出等で儲け、体力を付けてほしいとよくおっしゃいます。上記の年次報告書にあるごとく、国際共同開発・生産等が既に動き出していますので、この傾向は強まることはあっても、弱まることはないと考えます。
そうはいっても、今まで国内商売に専念してきた企業殿がおいそれと輸出等に参入できるものではありません。どうしたら良いかですが、私の著書を読まれるか、ホームページにアクセスされるか、又は、私に連絡して戴ければ、できる範囲でアドバイスさせて戴きます。最後は宣伝になってしまいましたが、ご容赦ください。
以上
資料:審査体制
http://www.bouekitenbou.com/no433521521046123982282331563.html貿易展望だよりNO.42 審査体制と見聞きしたこと