貿易展望だよりNO.46 1の項には仕様がない(2017年3月)
1の項については、NO.4で解説しました。そこで、本号では、その続きとして、何故1の項だけ仕様が規定されていないかについて、貨物を前提にお話ししたいと思います。技術については、貨物に準じてお考えください。なお、今号の内容は、法令に規定されている訳ではなく、私が政省令改訂の説明会等で見聞きしたことをベースに、まとめたものということです。
1.「1の項には仕様がない」
・・という点ですが、最近発売になった関係法令集改訂第22版のP42をご覧になるとよく判ります(注1)。そこには、別1に規定の1項貨物(武器)が(1)~ (17)まで定められており、その後に、運用通達に規定の「解釈」が続いています。しかしながら、2項貨物以降は規定貨物の後に省令、即ち、貨物等省令が掲示され、そこに規定貨物の仕様が掲載されています。そこで、疑問が生じてきましょう。何故、1項貨物のみ貨物等省令に仕様が規定されていないのか・・と。視点を変えますと、貨物等省令の第1条は1項貨物(武器)ではなく2項貨物(原子力)の仕様を定めているということです。
さて、仕様が規定されていないのだから、どんな仕様でも輸出可能などと考えてはいけません。輸出管理は輸出しようとする者(注2)の自己リスクが基本であり、貨物の該非の決定権は経産省にあることを忘れないことが大切です。
2.法律に規定すると・・
経産省の説明会で、講師(経産省のお役人)から次のようなことを聞きました。即ち、法律に規定すると、規定されていないものは、規制対象外と解釈されることになろうが、貨物によってはそう簡単には割り切れないものがあると。
以下は、永野個人の推測ですが、1項貨物(武器)の場合、機微な貨物(注3)ですので、政府或いは経産省は規制対象外の貨物(武器)の存在を明確にすると、そうであればそれは輸出可能ということになり、外為法の目的である「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持」に影響を及ぼしかねないと危惧しているのでしょう。その結果、貨物等省令では1項貨物に言及しないことにしたのだと思われます。
3.解釈について
貨物等省令では、前述のごとく、1項貨物の仕様には触れていませんが、運用通達に記載の解釈ではかなり細かく1項貨物について、定めています。従って、許可申請の際には、皆さんの貨物が1項の解釈に該当するかどうか注意してチェックしていってください。一方、解釈欄は左右に分かれている場合が多く、左欄は含むものが、又、右欄は除くものが記載されています。いずれの場合も解釈するのは経産省ですので、我々はCONSERVATIVEに解釈すべきでしょうし、いささかでも疑問が生じた場合は、経産省に相談或いは問合せることをお勧めします。本件に限った話ではありませんが、決して独断で解釈或いは判断しないことが大切です。
注1:関係法令集をお持ちでない場合は、貿易展望だよりNO.45をご参照ください。
注2:貿易展望だよりNO.9をご参照ください。
注3:貿易展望だよりNO.7をご参照ください。
1の項については、NO.4で解説しました。そこで、本号では、その続きとして、何故1の項だけ仕様が規定されていないかについて、貨物を前提にお話ししたいと思います。技術については、貨物に準じてお考えください。なお、今号の内容は、法令に規定されている訳ではなく、私が政省令改訂の説明会等で見聞きしたことをベースに、まとめたものということです。
1.「1の項には仕様がない」
・・という点ですが、最近発売になった関係法令集改訂第22版のP42をご覧になるとよく判ります(注1)。そこには、別1に規定の1項貨物(武器)が(1)~ (17)まで定められており、その後に、運用通達に規定の「解釈」が続いています。しかしながら、2項貨物以降は規定貨物の後に省令、即ち、貨物等省令が掲示され、そこに規定貨物の仕様が掲載されています。そこで、疑問が生じてきましょう。何故、1項貨物のみ貨物等省令に仕様が規定されていないのか・・と。視点を変えますと、貨物等省令の第1条は1項貨物(武器)ではなく2項貨物(原子力)の仕様を定めているということです。
さて、仕様が規定されていないのだから、どんな仕様でも輸出可能などと考えてはいけません。輸出管理は輸出しようとする者(注2)の自己リスクが基本であり、貨物の該非の決定権は経産省にあることを忘れないことが大切です。
2.法律に規定すると・・
経産省の説明会で、講師(経産省のお役人)から次のようなことを聞きました。即ち、法律に規定すると、規定されていないものは、規制対象外と解釈されることになろうが、貨物によってはそう簡単には割り切れないものがあると。
以下は、永野個人の推測ですが、1項貨物(武器)の場合、機微な貨物(注3)ですので、政府或いは経産省は規制対象外の貨物(武器)の存在を明確にすると、そうであればそれは輸出可能ということになり、外為法の目的である「我が国又は国際社会の平和及び安全の維持」に影響を及ぼしかねないと危惧しているのでしょう。その結果、貨物等省令では1項貨物に言及しないことにしたのだと思われます。
3.解釈について
貨物等省令では、前述のごとく、1項貨物の仕様には触れていませんが、運用通達に記載の解釈ではかなり細かく1項貨物について、定めています。従って、許可申請の際には、皆さんの貨物が1項の解釈に該当するかどうか注意してチェックしていってください。一方、解釈欄は左右に分かれている場合が多く、左欄は含むものが、又、右欄は除くものが記載されています。いずれの場合も解釈するのは経産省ですので、我々はCONSERVATIVEに解釈すべきでしょうし、いささかでも疑問が生じた場合は、経産省に相談或いは問合せることをお勧めします。本件に限った話ではありませんが、決して独断で解釈或いは判断しないことが大切です。
注1:関係法令集をお持ちでない場合は、貿易展望だよりNO.45をご参照ください。
注2:貿易展望だよりNO.9をご参照ください。
注3:貿易展望だよりNO.7をご参照ください。
http://www.bouekitenbou.com/no46-no46122881123983891712395123992018127096123641239412356201724180326376.htmlNO46 1の項には仕様がない