貿易展望だよりNO.61 続10%ルール(2018年1月) 永野靖夫:http://www.bouekitenbou.com
「10%ルール」という言葉をよく耳にされると思います。ごく大雑把にいって、規制対象の原材料又は部品がある貨物に含まれていても、それが10%を超えない場合に輸出許可が不要となるものですが、この言葉は法律用語ではありませんので、定義はありません。従って、関係法令集の何処を捜しても、この言葉は見付りません。一方、この用語は、再三試験問題に登場してきますので、注意が必要です。
そこで、今号ではこの点を解説してみることにしました。これは中々理解が難しいので、以下をご参照のうえ、十分注意して対処していってください。
1.何処に規定されているの?
皆さんは、まずこの質問に直面されるでしょう。答は、運用通達1-1-(7)-(イ)、関係法令集改訂第22版のP559に書かれています。このルールは、「他の貨物の主要な要素になっているか否か」を言い換えたものです。では、具体的にどういうことか、以下大筋を述べていくことにしましょう。
2.除外規定の設定
8の項(コンピュータ)を除いてという前提に立ちますが、当該貨物が「他の貨物の部分をなしている(注1)ものであっても、当該他の貨物の主要な要素となっていない(注2)もの又は当該他の貨物と分離しがたい(注3)と判断されるものは、別1の1から15までの項の貨物のいずれにも該当しないものとして扱う(運用通達1-1-(7)-(イ))」とされています。即ち、この場合、当該貨物は規制対象ではないということです。
そして、これを前提として、10%ルールには、以下のごとく、除外規定が設けられています。詳しくは関係法令集第22版P559ご参照ください。なお、意味が変わらない範囲で、読みやすいように多少修正してあります
1)別1の1の項(3)火薬類(爆発物を除く)又は軍用燃料
2)別1の1の項(13)軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射性製剤又はこれらの散布、防護、浄化、探知若しくは識別のための装置若しくはその部分品
3)別1の2の項(3)重水素又は重水素化合物(以下、省略)
4)別1の4の項(6)推進薬又はその原料となる物質(以下、省略)
5)上記1)から4)以外の物質であって、当該他の貨物に混合されていて、その主要な要素となっており、当該他の貨物がその状態で当該貨物の用途に用いることができる場合
以上ですが、注が三つ付いています。(大事な個所なので、フルに引用します。)
注1:「他の貨物の部分をなしている」とは、ある特定の他の貨物の機能の一部を担っており、かつ、当該他の貨物に正当に組み込まれ又は混合された状態をいう。この場合であって、出荷に際して、輸送上の理由等により、暫時分離するものについては、他の貨物の部分をなしているものと判断される。又、他の貨物が機能するために全く必要のないものや、通常の出荷時とは異なる過剰なスペックのものを取り付ける等、正当に組み込まれ又は混合されたものでない場合においては、他の貨物の部分をなしているものとは判断されない。
注2:「他の貨物の主要な要素となっているか否か」については、量、価額等を考慮して判断するものとする。組み込まれ又は混合されている貨物の価額(別1の項番号の下の括弧レベル毎に貨物を分類し組込先又は混合先の他の貨物の中に同一分類となる複数の貨物が含まれる場合には、それらを合計する)が組込先又は混合先の他の貨物の価額の10%を超えない場合、組み込まれ又は混合されている貨物は組込先又は混合先の他の貨物の主要な要素になっていないと判断される。従って、規制対象とはならない。価額は、初期製造時の市場価格を元に判断することを基本とする。
注3:機器、システムの構成部分品として組み込まれている状態をいい、例えば、電子部品にあっては、半田付けの状態にある場合には、他の貨物と分離しがたいと判断される。
なお、
1)10%ルールについては、NO.39でも触れていますので、併せてお読みください。
2)既に差し上げた一部のメールにおいて、上記注2の下線の部分が「混合されていない」となっていますが、上記のごとく「混合されている」に訂正させて戴きます。
以上
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「10%ルール」という言葉をよく耳にされると思います。ごく大雑把にいって、規制対象の原材料又は部品がある貨物に含まれていても、それが10%を超えない場合に輸出許可が不要となるものですが、この言葉は法律用語ではありませんので、定義はありません。従って、関係法令集の何処を捜しても、この言葉は見付りません。一方、この用語は、再三試験問題に登場してきますので、注意が必要です。
そこで、今号ではこの点を解説してみることにしました。これは中々理解が難しいので、以下をご参照のうえ、十分注意して対処していってください。
1.何処に規定されているの?
皆さんは、まずこの質問に直面されるでしょう。答は、運用通達1-1-(7)-(イ)、関係法令集改訂第22版のP559に書かれています。このルールは、「他の貨物の主要な要素になっているか否か」を言い換えたものです。では、具体的にどういうことか、以下大筋を述べていくことにしましょう。
2.除外規定の設定
8の項(コンピュータ)を除いてという前提に立ちますが、当該貨物が「他の貨物の部分をなしている(注1)ものであっても、当該他の貨物の主要な要素となっていない(注2)もの又は当該他の貨物と分離しがたい(注3)と判断されるものは、別1の1から15までの項の貨物のいずれにも該当しないものとして扱う(運用通達1-1-(7)-(イ))」とされています。即ち、この場合、当該貨物は規制対象ではないということです。
そして、これを前提として、10%ルールには、以下のごとく、除外規定が設けられています。詳しくは関係法令集第22版P559ご参照ください。なお、意味が変わらない範囲で、読みやすいように多少修正してあります
1)別1の1の項(3)火薬類(爆発物を除く)又は軍用燃料
2)別1の1の項(13)軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射性製剤又はこれらの散布、防護、浄化、探知若しくは識別のための装置若しくはその部分品
3)別1の2の項(3)重水素又は重水素化合物(以下、省略)
4)別1の4の項(6)推進薬又はその原料となる物質(以下、省略)
5)上記1)から4)以外の物質であって、当該他の貨物に混合されていて、その主要な要素となっており、当該他の貨物がその状態で当該貨物の用途に用いることができる場合
以上ですが、注が三つ付いています。(大事な個所なので、フルに引用します。)
注1:「他の貨物の部分をなしている」とは、ある特定の他の貨物の機能の一部を担っており、かつ、当該他の貨物に正当に組み込まれ又は混合された状態をいう。この場合であって、出荷に際して、輸送上の理由等により、暫時分離するものについては、他の貨物の部分をなしているものと判断される。又、他の貨物が機能するために全く必要のないものや、通常の出荷時とは異なる過剰なスペックのものを取り付ける等、正当に組み込まれ又は混合されたものでない場合においては、他の貨物の部分をなしているものとは判断されない。
注2:「他の貨物の主要な要素となっているか否か」については、量、価額等を考慮して判断するものとする。組み込まれ又は混合されている貨物の価額(別1の項番号の下の括弧レベル毎に貨物を分類し組込先又は混合先の他の貨物の中に同一分類となる複数の貨物が含まれる場合には、それらを合計する)が組込先又は混合先の他の貨物の価額の10%を超えない場合、組み込まれ又は混合されている貨物は組込先又は混合先の他の貨物の主要な要素になっていないと判断される。従って、規制対象とはならない。価額は、初期製造時の市場価格を元に判断することを基本とする。
注3:機器、システムの構成部分品として組み込まれている状態をいい、例えば、電子部品にあっては、半田付けの状態にある場合には、他の貨物と分離しがたいと判断される。
なお、
1)10%ルールについては、NO.39でも触れていますので、併せてお読みください。
2)既に差し上げた一部のメールにおいて、上記注2の下線の部分が「混合されていない」となっていますが、上記のごとく「混合されている」に訂正させて戴きます。
以上
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